IT・科学
ネット炎上、1枚の写真で伝える防止法 年300回講演、プロの教え
インターネット上で不謹慎な書き込みや違法行為を見せびらかし、猛烈な非難を受ける「炎上事件」が後を絶ちません。あまたの事件を分析し、学生や企業向けに炎上を起こさない方法を教えているプロがいます。年300回を超える講演をしている、IT大手グリーの小木曽健さん(43)です。
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インターネット上で不謹慎な書き込みや違法行為を見せびらかし、猛烈な非難を受ける「炎上事件」が後を絶ちません。あまたの事件を分析し、学生や企業向けに炎上を起こさない方法を教えているプロがいます。年300回を超える講演をしている、IT大手グリーの小木曽健さん(43)です。
インターネット上で不謹慎な書き込みや違法行為を見せびらかし、猛烈な非難を受ける「炎上事件」が後を絶ちません。あまたの事件を分析し、学生や企業向けに炎上を起こさない方法を教えているプロがいます。年300回を超える講演をしている、IT大手グリーの小木曽健さん(43)です。「炎上で人生を無駄にする若者をゼロにしたい」といいます。
今年4月、東京都立工芸高校(文京区)の大教室に、1年生約90人が集まりました。小木曽さんは、ショッキングな言葉から講演を始めます。
スクリーンに東京・渋谷のスクランブル交差点の写真が映りました。真ん中で制服姿の少女が、学校名と携帯番号を書いたボードを掲げています。
子どもたちが「えーっ」と顔をしかめます。
ネットで起きるさまざまな問題。小木曽さんは「まず、軽いやつを見てみましょう」と、一枚の写真を映します。クッションや漫画がある女の子の部屋です。
模様替えをしたので、ブログに載せる。こんな何気ない行為が、個人情報を世界中にさらすことになると小木曽さんは言います。スマホで撮った写真には、設定次第では、位置情報が埋め込まれていることがあります。画像データを少し調べれば、住所や部屋がわかってしまいます。
「では、より重たい問題。ネット炎上の話に入ります」
2013年7月、高知市のコンビニを舞台に起きた炎上事件。20代のアルバイト店員が、アイスクリームを販売する冷蔵ケースの中で寝そべる写真を、フェイスブックに投稿しました。ネット炎上が社会的に注目される、きっかけとなった事件です。小木曽さんは、悲惨な結末をあえて詳細に解説します。
その後も同じような行為をして炎上する若者が続出します。調理師学校、蕎麦屋、大手ハンバーガーチェーン・・・。
では炎上事件は、どのように取り返しのつかない事態へと突き進んでいくのでしょうか。
小木曽さんは、中学生3人が、同級生を暴行している「いじめ動画」をユーチューブに投稿した炎上事件を例にあげます。
さらに父親の会社や電話番号、学校の担任、自宅の外観写真が次々と投稿されました。
いったん炎上が収まっても、ネット上には痕跡が残り続けます。進学、就職、結婚。そうした人生の大事な場面で過去の炎上が「がんと足を引っ張ってくる」。それが、ネット炎上の本当の恐ろしさだといいます。
社会人になっても、炎上の過去はつきまといます。
どうすれば炎上を避けることができるのでしょうか。小木曽さんは、その方法は「一枚の写真で伝えられる」と言います。玄関ドアに「カンニング成功 オール100点かもね」と張り紙をしている写真が映ります。
小木曽さんは2010年、グリーに入社。日記やチャットなどのネットサービスで、利用者による規約違反行為などが行われていないか、パトロールする部署の責任者に就きました。
さまざまな炎上も目にしてきました。「一番、状況を知っている人間として、防ぎ方を伝える責任があると感じるようになった」といいます。
5年前から、無償で講演を続けています。進化の早いネット業界では、次々と新たな情報機器やアプリが登場します。しかし、どんな流行が起きようとも、「ネットの本質」を知っておけば、炎上を防ぐことができる。そう考えて、内容を工夫しているといいます。
それでも、炎上を起こしてしまう子どもはいます。小木曽さんは講演では必ず、こう呼びかけています。
「炎上を起こしたら、私にフェイスブックでもツイッターでもいい。すぐに連絡して欲しい。正しい対処方法を、詳しく教えるから」
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